日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コミュニティソーシャルワーカー
こみゅにてぃそーしゃるわーかー
地域福祉のための専門職の一つ。略称CSW。地域福祉コーディネーターともいう。地域において要援護者などに対し、見守りや相談に応じる個別支援、人間関係や生活環境面に関する地域支援を果たすと同時に、住民の地域自立生活を支援するための公的制度のあり方を提案する。通常、地域包括支援センターなどに配置される。国による全国共通の資格制度が検討されているが、実際の資格要件や役割は自治体によって異なっている。一般的には社会福祉士などの有資格者で、地域ネットワークに精通した現場経験の豊富な者が職務についている。なかでも社会福祉協議会所属のコミュニティワーカーとして地域支援に携わってきた者が成果をあげており、これは地域を熟知した経験が資格以上に重要であることを示している。
コミュニティソーシャルワークcommunity social work は、イギリスで地方自治体による福祉援助サービスのあり方が議論されるようになった、1960年代後半に誕生した考え方である。日本では1990年(平成2)に社会福祉関係8法が改正されたことをきっかけに、在宅福祉サービスを軸とし、住民の地域自立生活を支援する公的制度のあり方として参考にされるようになった。
大阪府では市町村とともに、2004年度(平成16)よりコミュニティソーシャルワーク機能配置促進事業に取り組み、2012年度には市町村の社会福祉協議会や高齢者施設に154人のCSWを配置している。その結果、いわゆる「ごみ屋敷」問題における市町村と民間業者を連携させた新しいごみ処分の体制や、認知症患者の徘徊(はいかい)行動に対応する市のメールサービスなどの新しい行政サービスが実施されるようになった。
全国的にも、地域や行政、社会福祉協議会などのさまざまな組織が主導する形でCSWを配置する動きが広がっており、人材の養成や研修などの議論が全国的に活発になっている。
[編集部]