日本大百科全書(ニッポニカ) 「コメバツガザクラ」の意味・わかりやすい解説
コメバツガザクラ
こめばつがざくら / 米葉栂桜
[学] Arcterica nana (Maxim.) Makino
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑小低木で、1属1種。地下茎から高さ約10センチメートルの細い枝をよく分枝する。葉は3枚が輪生し、長楕円(ちょうだえん)形、長さ0.5~1センチメートルで小さく、革質である。7~8月、枝先に3個ずつ輪生して、白色の小花が斜め下向きに開く。花冠は壺(つぼ)形で径約4ミリメートルで、縁は5浅裂する。萼(がく)は5全裂し、裂片は披針(ひしん)形で、雄しべは10本。果実は扁球(へんきゅう)形で直立し、萼が宿存しており、9~10月に成熟して5裂する。本州の鳥取県大山(だいせん)以東の高山、北海道、千島、カムチャツカに分布し、ハイマツ帯一面に広がって生える。鉢植えにして観賞もされる。名は、ツガザクラに似ていて、葉が小形であることによる。
[小林義雄 2021年4月16日]