改訂新版 世界大百科事典 「コモドオオトカゲ」の意味・わかりやすい解説
コモドオオトカゲ
Komodo dragon
Varanus komodoensis
オオトカゲ科の世界最大のトカゲ。インドネシアの小スンダ列島のコモド,リンチャ,パダール,フロレス(西部)の諸島にのみ分布。全長2~3m。長さだけでは尾の長いニューギニアオオトカゲV.salvadoriiに一歩譲るが,太い胴を引きずるようにのし歩く様は,まさに“ドラゴン”の呼び名にふさわしい。丘陵地帯の降雨林にすみ,草原やときには海岸にも現れる。餌はシカ,イノシシ,サルなどの哺乳類で,強力なあごと前肢のつめで襲うが,大きな獲物は強大な尾で打ち倒す。若い個体は昆虫,トカゲ,ネズミ,鳥やウミガメの卵を食べる。コモド島に巨大な“陸のワニ”がすむと伝えられたのは19世紀初期のことで,1912年に至り,ボゴール植物園長P.A.オーエンズによって,初めて科学的な報告がなされた。現地の人たちは,コモドオオトカゲ(オラ)と人間(オラン)とは古くから兄弟だという伝説を信じ,昔から彼らを保護してきた。31年に制定された国際保護条令により,インドネシア政府の手で厳重に保護されている。
→オオトカゲ
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報