改訂新版 世界大百科事典 「フロレス島」の意味・わかりやすい解説
フロレス[島]
Pulau Flores
インドネシア中部,小スンダ列島に属する大島。面積1万4273km2,人口約100万。東西350km,南北の幅15~65kmの狭長な形をなす。ヒマラヤ造山帯が島を貫き,山がちで最高点は西部のラナカー山(2400m),中部にはアンブロンボ山(2149m)をはじめ活火山が多い。海岸線は複雑である。気候的には乾季が長く,8ヵ月にも及ぶことがある。住民は西部がマレー系,東部がパプア系で,生活様式に東西でかなりの差がみられる。かつてスラウェシ島の王国に支配され,16世紀にポルトガル人が来航したが,このとき島の岬の一つタンジュン・ブンガ(〈花の岬〉の意)をポルトガル語のカボ・デ・フロレスと直訳し,これが島名のもとになった。1618年からオランダ勢力が進出してきた。西部住民は米を作るが,東部ではトウモロコシを栽培し主食とする。奥地はまだ十分に開かれていないが,ビャクダン,べっこう,燕巣などの特産があり,金その他若干の鉱物資源もある。エンデ,ララントゥーカなどがおもな町。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報