食の医学館 の解説
これぞほんとうのひゃくやくのちょう【これぞほんとうの百薬の長!?】
アルコールに薬効成分を溶け込ませることによって、体内への吸収性が高まるため効果を得やすいこと、また、砂糖などの甘みを加えて素材のクセを消し、飲みやすくできることが薬酒の利点。そのため、民間薬として古くから親しまれています。
薬酒に用いられる素材の代表的なものは、ウメ、カリン、キンカン、ニンニク、クコ、ナツメ、朝鮮人参(高麗人参)など。漬け込む酒は、アルコール度数36度未満の連続式蒸留の焼酎が一般的で、ワインや日本酒、ウイスキーなどでもつくることができます。漬け込む期間は素材によって異なりますが、1~6か月程度が目安です。
つくる際に注意すべき点は、いたんだ素材はきれいに取り除くこと、生で使う素材はよく水洗いしたあと、水気をしっかり拭き取って使うこと。ビンは口が広くて密閉できる透明なものを使い、直射日光のあたらない涼しい場所でねかせるようにします。
十分にねかせたら、中の素材を取り出して、ふきんでこせば、薬酒の完成。1日1~3回、1回あたりさかずき1杯程度を、なるべく長く飲み続けるのが、もっとも効果的です。
ところで、薬酒には市販されている製品もありますが、その多くは江戸時代に医薬として処方されたものです。
養命酒(ようめいしゅ)や陶陶酒(とうとうしゅ)に代表されるこれら市販の薬酒は、十数種類の生薬を原料とし、胃弱、虚弱体質、冷え症、貧血などの改善がおもな効用です。