コンタクトレンズと眼感染

六訂版 家庭医学大全科 の解説

コンタクトレンズと眼感染(装用に伴う角膜感染とその対策)
(眼の病気)

 昔は、角膜感染症異物飛入(いぶつひにゅう)によるものがほとんどでしたが、最近はコンタクトレンズに伴う感染が増加しています。そのため、昔は角膜感染症(かくまくかんせんしょう)を起こす年齢のピークは50~60代であったのですが、最近ではそのピークが10~20代に変化してきています。

 コンタクトレンズを使用している人は、酸素不足やドライアイやコンタクトレンズによる機械的刺激の影響で、角膜の表面に小さい傷ができる(点状表層角膜症(てんじょうひょうそうかくまくしょう))ことが多く、現に常時小さい傷が認められる人も決してまれではありません。そして、そこへコンタクトレンズに付着した微生物がもち込まれれば、何らかのきっかけで感染を起こしてもおかしくないといえます。

 感染を起こす事例の多くは、眼が痛くても無理に使用したり、保存液として古い汚れたものや保存液以外のものを使用したり、使い捨てのレンズを使い捨てずに再使用するなどといった誤った使用方法が原因となっています。感染を起こした人のコンタクトレンズ保存液をみせてもらうと肉眼でみても汚れているのがわかる人さえいます。また、アカントアメーバ水道水なかにもいますので、コンタクトレンズを水道水で洗ったり、水道水を保存液代わりに使用していると容易にコンタクトレンズがアメーバで汚染されます。

 さらに最近では、ある程度正しくコンタクトレンズを使用している場合でも、感染を起こすケースがあることが問題となっています。昔はコンタクトレンズを消毒するために煮沸をしていたのですが、コンタクトレンズをより使いやすくするために、最近は洗浄・保存・消毒・すすぎがひとつの溶液でできるmulti-purpose solution(MPS)というものが開発され、これで消毒を行うことが一般的になっています。ところがこのMPSによる消毒は煮沸ほど完璧なものではなく、たとえばコンタクトレンズにこびりついた細菌は溶液につけておくだけでは殺すことができません。あくまでもしっかりと(こす)り洗いをすることが前提になっています。また、アカントアメーバに対する効果はかなり低く、明らかな誤使用がなくても感染する可能性があります。

 少なくともきめられた使用方法はしっかり守り、コンタクトレンズを扱う時はしっかりと手を洗い、擦り洗いを十分に行う必要があります。保存ケースの定期交換も非常に重要です。コンタクトレンズを使用している人は、コンタクトレンズ自体が眼にとってはそもそも異物であり、それを眼の表面に長い時間接触させるにあたっては、十分な注意が必要であることを、よく自覚しておくことが重要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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