改訂新版 世界大百科事典 「コートールズ会社」の意味・わかりやすい解説
コートールズ[会社]
Courtaulds PLC.
イギリス最大,世界でも有数の化学繊維・化学メーカー。本社ロンドン。世界の繊維メーカーのなかでも有数の古い歴史をもち,その起源は,1816年にコートールドSamuel Courtauldが絹撚糸と絹織物の生産を始めたことにさかのぼる。28年に合資組織となり,91年にSamuel Courtauld& Co.に改組,1913年に現在の組織になった。この間,1904年にはレーヨンの生産に乗り出し,以来イギリスにおけるレーヨン生産をほぼ独占した。また第2次大戦前の国際レーヨン・トラストの中核企業であった。戦後は44年にナイロン事業を開始し,51年にはポリプロピレンとアクリル繊維の生産を始め,合成繊維分野への進出を果たした。また69年からは炭素繊維の生産も始めている。国内および海外に多数の子会社をもち,事業内容は幅広い。繊維の生産,紡績,紡織,染色,縫製などを行うほか,非繊維事業として塗料,建材,プラスチック製品,包装材料の生産を行っている。傘下に世界最大の船舶用塗料会社International Paint Co.(IP),セルロース・フィルム輸出会社British Cellophane(BCL)などを擁する。低収益事業を撤収して実力を発揮できる分野に力を注ぐという経営方針のもと,(1)繊維部門のアクリルとレーヨンステープルへの集約,(2)非繊維部門での事業の拡大,(3)世界における事業拠点のバランスのとれた拡充,を進めた。98年繊維部門を除いてオランダの化学会社アクゾ・ノーベル社に買収された。繊維部門も2000年にアメリカのサラ・リー社が買収した。
執筆者:鈴木 明彦
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