日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴム取引所」の意味・わかりやすい解説
ゴム取引所
ごむとりひきじょ
Rubber Exchange
ゴムの実物および先物を売買する目的で設立される取引所。天然ゴムは価格変動の激しい国際的戦略物資であるため、妥当な価格の形成と生産・流通の円滑化を図る必要性が高く、取引所で取引する品目に適している。
日本にはかつて東京と神戸にゴム取引所があったが、現在、独立したゴム取引所は存在しない。
東京ゴム取引所(1952年設立)は、1984年(昭和59)に東京金取引所および東京繊維商品取引所と統合して東京工業品取引所(略称TOCOM(トコム))となり、2013年(平成25)東京商品取引所に名称を変更した(略称は同じ)。TOCOMにはゴムのほか、貴金属、石油、農作物などが上場されている。ここでのゴム取引は、ザラ場(相対(あいたい)で取引する個別競争売買)による現物先物取引であるが、2004年までは板寄せ(集団による競争売買の一種)による取引も行われていた。
他方、神戸ゴム取引所(1952年設立)は、1997年(平成9)に大阪繊維取引所と統合して大阪商品取引所となり、さらに2007年に中部商品取引所と統合して中部大阪商品取引所となった。石油、アルミニウム、鉄スクラップなどとあわせて取引され、板寄せによるゴムの現物先物取引と、天然ゴムの指数先物取引が行われていたが、同取引所は2011年に解散。そのため、現在ではTOCOMのみでゴム取引が行われている。
[森本三男]