ゴメス(読み)ごめす(英語表記)Juan Vicente Gómez

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴメス」の意味・わかりやすい解説

ゴメス
Gómez, Juan Vicente

[生]1859.7.24. サンアントニオデタチラ
[没]1935.12.17. マラカイ
ベネズエラ軍人,政治家。アンデス山岳地方出身の文盲牧童であった。 1899年 C.カストロ反乱に協力し,カストロ政権 (1899~1908) 下で 1902~08年陸軍総司令官および副大統領をつとめた。 08年ヨーロッパへ病気治療に出たカストロの跡を継いで大統領になり,以後 35年に病死するまでの 27年間専制政治をしいた。安定した政治のもとで外国資本に石油開発権を与え,マラカイボ油田の開発を促し,ベネズエラを世界的な産油国とした。石油から上がる税収入で潤沢となった国庫は膨大な公共投資を可能にし,ベネズエラの近代化に貢献したが,一方汚職と政治の腐敗を招いた。

ゴメス
Gómez, José Miguel

[生]1858
[没]1921
キューバの軍人。大統領 (在任 1909~13) 。キューバ独立戦争で活躍,独立後はリベラル党指導者となった。政権担当の時代は腐敗政治でアメリカ干渉を余儀なくされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴメス」の意味・わかりやすい解説

ゴメス
ごめす
Juan Vicente Gómez
(1857―1935)

ベネズエラの政治家、軍人。タチラ州の貧農の子として育ち、長じて農業で巨富を得た。1899年、兵役時代の同僚シプリアノ・カストロCipriano Castro(1858―1924)がコロンビア国境で旗揚げした反政府軍を援助し、彼自身も指揮官としてカラカス攻略に加わった。カストロ政権樹立に伴いカラカス市知事となり、反カストロ勢力一掃に功をたて、1902年副大統領に起用された。08年病気のカストロにかわって大統領の座につき、死亡するまでの27年間独裁者として君臨した。つねに軍隊の最高司令官として近代的軍事技術を強化し、反対勢力の台頭を妨げ弾圧を行った。石油ブームが彼の財政を支えたが、反面国内農業は見捨てられ貧富の差が目だった。

[寿里順平]

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