日本大百科全書(ニッポニカ) 「サスカチェワン」の意味・わかりやすい解説
サスカチェワン
さすかちぇわん
Saskatchewan
カナダ中南部の州。平原三州の中央に位置。面積58万6561.35平方キロメートル、人口97万8933(2001)。東西450~630キロメートル、南北1200キロメートル、南側は北緯49度線でアメリカ合衆国と、北側は北緯60度線でノースウェスト・テリトリーズと境されている。州都リジャイナ。北米大陸のプレーリー北縁に位置し、自然植生は南部のプレーリーの草原、北部の針葉樹林、中間部の移行帯の混合林におおよそ3分割することができる。気候は大陸性で、南部ほど乾燥している。月平均気温は1月で零下15~零下25℃、7月で16~20℃、年降水量は南部で300~400ミリメートル、北部で400~500ミリメートルである。人口は南部に集中している。春小麦を中心とした世界有数の農業地帯に属し、カナダ小麦の3分の2を産出しており、州第二の都市サスカトゥーンがその大集散地となっている。ほかに、エンバク、大麦、ライムギを産し、酪農や家畜飼育も行われ、大規模な農業経営で高度に機械化されているのが特色である。また、プレーリー地区での石油、天然ガスの発見に伴い、アルバータ州に次ぐ石油産地としても注目されている。南東端のカリ鉱床は世界最大である。そのほか銅、亜鉛、アルミニウム、ウラニウムなども産し、これら豊富な鉱産資源を利用した工業や石油精製、石油化学などの工業も発達しつつある。
17世紀末、ハドソン湾会社が毛皮の交易地を設けたのが始まりで、永住集落は1774年建設のカンバーランド・ハウスといわれる。1869年までハドソン湾会社が支配、70年にカナダ自治領の一部となり、カナダ連邦に加盟したのは1905年である。他州に比べてインディアン人口の比率が高く、州名は、インディアンのことばで「速く流れる水」の意の同名の川が州を貫流することに由来。
[山下脩二]