ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドソン湾会社」の意味・わかりやすい解説
ハドソン湾会社
ハドソンわんがいしゃ
Hudson's Bay Company
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1670年にイギリス国王チャールズ2世の特許により設立された貿易会社。正式名を「ハドソン湾で通商に従事するイギリス冒険家商会と総督」という。この名からもわかるように、ルパーツ・ランドとよばれた北アメリカ大陸の北部中央の広大な地域の通商と統治に従事していた。領有した地域は、現在のカナダ北西準州(ノースウエスト・テリトリーズ)、アルバータ、サスカチェワン、マニトバの諸州、そしてオンタリオとケベック両州の北方とされる。19世紀にはフランス系の北西会社と熾烈(しれつ)な競争を展開したが、1821年に両社は併合され、以後イギリス政府は同社に21年間有効の特許を更新していった。ゲリー砦(とりで)(現ウィニペグ近郊)を根拠地として毛皮交易で莫大(ばくだい)な利潤をあげたが、同社に所属した著名な探検家としてはH・ケルシーやS・ハーンがいる。
1859年自由主義隆盛下のイギリス政府は特許を更新せず、アメリカ合衆国がこの地域の併合に食指を動かしたが、この地域への進出を熱望した連合カナダ植民地の農民は、英領北アメリカ植民地の統合という形で併合しようと、コンフェデレーションを推進した。1867年のカナダ自治領の成立とともに、69年、平和裏に広大な土地はカナダ政府に売却された。会社の数多い駐屯地は、その後カナダ西部の諸都市に発達している。現在はカナダのデパートにその名を残している。
[大原祐子]
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