カナダ自治領(読み)カナダじちりょう(英語表記)Dominion of Canada

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カナダ自治領」の意味・わかりやすい解説

カナダ自治領
カナダじちりょう
Dominion of Canada

1867~1951年までの,カナダの正式国名。イギリス領北アメリカ条例に基づき,1867年にノバスコシアニューブランズウィック,ケベック,オンタリオの4州をもってカナダ自治領が発足した。この際国名をいかにするかについて,さまざまな意見があったが,自治領 (Dominionを日本語に訳した語) なる表現は,建国父祖の一人,S.L.ティリーが『詩篇』 72章8の「そのまつりごと Dominionは海から海に,川より地のはてに及ぶべし」からとり,大西洋から太平洋にいたる国家の形成を目指していた国家カナダにふさわしい句であった。カナダ自治領には 70年にマニトバ州が,71年ブリティシュコロンビア州が,73年にプリンスエドワードアイランド州が,1905年にサスカチュワン州アルバータ州が,49年にニューファンドランド州が参加した。発足当時アメリカ合衆国型の連邦制を採用したが,責任内閣制というイギリスと同じ政治構造をもち,特に連邦政府の権限の強いことがアメリカと異なっていた。しかし歴史的経過に伴い,州政府の権限が強くなっていった。外交権がイギリスに握られていたこと,イギリス国王代理としての総督存在,イギリス枢密院司法委員会がカナダの最高裁判所からの上告を管轄する権限を有していたことなどにカナダ自治領の特徴が求められるが,このすべては 49年までに撤廃もしくは変更され,51年に正式国名をカナダと改めた。

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世界大百科事典(旧版)内のカナダ自治領の言及

【コンフェデレーション】より

…カナダ史において,1867年7月1日の〈カナダ自治領〉の形成に結実する一連の運動の総称。狭義には1864年9月のシャーロットタウン会議にその開始を求めることができるが,広義には1841年のアッパーおよびロワー両カナダ植民地の統合にその萌芽を認めることもできよう。…

※「カナダ自治領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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