岩石学辞典 「サニディナイト相」の解説 サニディナイト相 輝石ホルンフェルス相よりも高温で,非常な高温で低圧の条件下で形成される変成相[Eskola : 1920, 1922, 1939].この相の岩石は限定されており,地表近くの火成岩の中の高温度の捕獲岩,凝灰岩中の破片,浅い塩基性岩筒(pipe)の直接接触した岩石中の破片として産出が知られている.この相の多くの鉱物組合せは非平衡を示しており,中にはガラスを含む岩石があり部分熔融の存在を示している.この相に産する鉱物は大気圧での熔融状態から結晶作用で形成された鉱物に類似したものが多い.この相にはサニディン,高温型曹長石,アルカリ長石の連続固溶体などの各種の高温型の鉱物が出現するが,雲母や角閃石は産出しない.エスコラはこの相の基準的な鉱物としてサニディンとピジョナイトを考えているが,サニディンそのものはこの相にのみ出るとは限らず,輝石ホルンフェルス相や白粒岩相にも出現する[Eskola : 1939].輝石ホルンフェルス相よりも高温では正長石はサニディンとなる.サニディンは特徴的な鉱物で,一般にNaに富んでおり,クリノエンスタタイト,クリノハイパーシンおよび単斜輝石は普通に産出する.その他にはトリディマイト,クリストバライト,ムライト(mullite),珪線石などがある.CaおよびMgに富む岩石では,メリライト(melilite),モンチセライト(monticelite),メルウィナイト(merwinite),スプライト(spurrite),ラルナイト(larnaite),ランキナイト(rankinite)などが形成される.サニディナイトという岩石は,ドイツのラヘル湖(Laacher See)地方の粗面岩質火山噴出物に伴う放出物に付けた名称である. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報