岩石学辞典 「輝石ホルンフェルス相」の解説 輝石ホルンフェルス相 エスコラはこの相を最初はホルンフェルス相とよんだが,一般のホルンフェルスには変成相として角閃岩相に含まれるものが多いので,その後輝石ホルンフェルス相と変更した.この相は一般に,塩基性ないし多少塩基性の深成岩体を取り巻いた貫入の接触変成帯の内部に産出する.この相は高温ではあるが低圧に支配され発達する相である[Eskola : 1920, 1939].泥質岩の場合には,珪線石(または紅柱石),菫青石の組合せで正長石を伴う.塩基性ホルンフェルスでは透輝石,ハイパーシン,斜長石が共存し,石灰質の組合せでは珪灰石が存在する.ウィンクラーはこの相をカリ長石菫青石ホルンフェルス相の中の斜方輝石亜相とした[Winkler : 1957].この相では高温のため白雲母,角閃石は不安定で形成されない.その代わりに正長石,斜方輝石,Ca-輝石を生じる.黒雲母は安定であるが角閃石ホルンフェルス相よりも狭い範囲の条件で産出する.高温であるが低圧であるために,石榴石は出現しないで紅柱石,菫青石が形成される点が白粒岩相とは異なっている.この相には一般に正長石が形成され,サニディンが出ることがあれば,サニディンのできるところがサニディナイト相との境界となる. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報