サマータイム(読み)さまーたいむ(英語表記)summer time

翻訳|summer time

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サマータイム」の意味・わかりやすい解説

サマータイム
さまーたいむ
summer time

国や都市などが、夏季の昼間時間が長いことを利用して、法令で標準時を1時間進めた時刻を使用すること。夏時刻法ともいう。1908年イギリスのウィリアム・ウィレットが、時刻を早めればそれだけ早く仕事にとりかかり、したがって早く起き、早く寝ることになり、灯火節約になるという経済的理由と、新鮮な空気を吸い日光に長時間触れるので健康増進にもなるという主旨で、日光節約法案を議会提出、否決され、その後も2回提出、否決された。しかし、第一次世界大戦中、突然ドイツが経済上の理由から1916年に夏時刻法を採用し、4月30日午後11時に時計の針を1時間進め、10月1日午前1時に元に戻した。オーストリアも同時にこれを採用、オランダデンマークもこれに続いた。イギリスも同年5月21日に時計を1時間進め、10月に元に戻した。続いてヨーロッパ諸国が採用した。戦後もヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダニュージーランド、南アメリカの主要国が採用した。今日、世界で夏時刻を実施している国はアメリカ(州ごとに決める)、ロシア連邦をはじめ約70か国にも及ぶ。日本は1940年(昭和15)燃料節約のうえから問題にされたことがあったが立ち消えとなった。1948年政府が国会に夏時刻法を提出、採択され、4月の第1土曜日、午後12時(この年と翌々年からは5月に繰り下げ)から9月第2土曜日に次ぐ日曜日午前0時まで夏時刻法を施行した。しかし夏時刻は日本の風土には適さず、農家をはじめ一般に歓迎されず、4年後に廃止された。

[渡辺敏夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サマータイム」の意味・わかりやすい解説

サマータイム

夏時間。 summer timeは和製語で,欧米では daylight saving timeという。夏季の一定期日限り,日中の時間をより有効に使うため,標準時間より1時間ないし2時間時計を進める方法。日本では 1948年5月の第1土曜日を 23時で打切って翌日曜日の午前0時とし,9月の第2土曜日を 25時までとして実施され,以来毎年行われたが,不評のため 52年に廃止された。

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