改訂新版 世界大百科事典 「サラサエビ」の意味・わかりやすい解説
サラサエビ (更紗蝦)
Rhynchocinetes uritai
岩礁の浅海にすむ甲殻綱サラサエビ科の美しいエビ。体長4.5cmほどになり,生きているときは透明で赤褐色の複雑な縞模様があり,また,まるい白い紋が並んでいる。額角は上縁に2~3本,先端近くに4~5本,下縁に8~11本のとげがある。額角の基部に頭胸甲との関節があり,上下に動く。このような構造はサラサエビ類共通の特徴で,他のエビ類には見られないが,生態的に何かに役だっているかどうか不明である。頭胸甲の背正中部に2本,尾節側縁に3対,後縁に3対のとげがある。第1,2胸脚ははさみをもち,第2胸脚のほうが細長い。房総半島からフィリピンまで分布するが,沖縄以南のサンゴ礁にはごく近縁のサンゴサラサエビR.hendersoni(=R.hiatti)がすみ,南太平洋まで広く分布している。模様はあまり複雑でなく,赤褐色の地に6~7本のやや幅広い白い横帯がある。
執筆者:武田 正倫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報