日本大百科全書(ニッポニカ) 「サレカット・イスラム」の意味・わかりやすい解説
サレカット・イスラム
されかっといすらむ
Sarekat Islam
インドネシア史上初の大衆的民族運動組織。イスラム同盟と訳す。バタビアに設立されたサレカット・ダガン・イスラム(イスラム商業同盟)の同名団体がボゴールとスラカルタにも生まれたとき、旧マタラム国の中心であり民族産業バティック(更紗(さらさ))生産の盛んであったスラカルタに、この同名3団体を統合発展させようという動きが起こった。これを受けて元官吏チョクロアミノトを指導者として1912年に再組織されたのが、サレカット・イスラムである。初めは華僑(かきょう)資本の進出に対抗してイスラム教徒の宗教的、経済的結束を目ざしたものであったが、やがてオランダ領東インド各島の民族運動を結び付ける中心的な役割を果たすに至った。とくに注目されるべきことは、ここから非妥協的独立要求運動が生まれて、インドネシア共産党や国民党を担うことになる人材を輩出したことであろう。
[森 弘之]
『和田久徳・森弘之・鈴木恒之著『東南アジア現代史Ⅰ』(1977・山川出版社)』