インドネシア,ジャワ島西部の都市。人口81万6911(2003)。ジャカルタの南約60kmにあり,オランダ領時代はボイテンゾルフBuitenzorg(〈無憂境〉の意)と呼ばれた。サラク(標高2211m),ゲデ(同2958m)両火山の裾合谷の標高250mに位置する。年平均降水量は4200mmと多いが,年平均気温は24.8℃でジャカルタよりしのぎよい。1745年にオランダ総督の別荘が設けられるまでは原始林に覆われていた。19世紀初めから本格的な開拓が始まり,前述の別荘は総督官邸とされ,町はジャカルタの別荘地となった。また1817年にはオランダのライデン大学の植物学者ラインワルトReinwardtが熱帯植物研究のため植物園を創設し,しだいに拡大・整備されて現在では世界的に有名な熱帯植物園となった。ここの熱帯植物は1万種を超え,研究施設も完備して世界各国からの学者が訪れる。現在のボゴール農業大学は第2次大戦後インドネシア政府がこの施設を利用してつくったものである。ボゴールはいまジャカルタからの通勤都市圏となり,国電で約1時間で結ばれる。
執筆者:別技 篤彦
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インドネシア、ジャワ島西部の都市。ジャカルタの南50キロメートル、サラク(2211メートル)、ゲデ(2958メートル)両火山の裾合谷(すそあいだに)の標高265メートルに位置する。人口24万7409(1980)、516万2044(2018推計)。降水量が多く年間4000ミリメートルを超えるが、気温はジャカルタより低くしのぎやすい。オランダ植民地時代の1745年にジャカルタの暑熱を避ける土地として開かれ、総督官邸や熱帯植物園が設けられてボイテンゾルフBui tenzorg(無憂境)と命名され、以来同島最大の白人居住区であった。1817年に設立されたボゴール植物園は世界的にも有数の規模をもつもので、1万種に近い植物が栽培され、さく葉館、図書館や熱帯実用植物栽培場が併設されている。第二次世界大戦後、これらの施設を中心にボゴール農業大学が創立された。最近は国鉄によるジャカルタへの通勤者も多くなっている。なお、ボゴール東方のプンチャク峠(1060メートル)一帯はさらに高地の休養地として開かれ、別荘やバンガローが点在する。
[別技篤彦]
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