日本大百科全書(ニッポニカ) 「サントウサイ」の意味・わかりやすい解説
サントウサイ
さんとうさい / 山東菜
[学] Brassica rapa L. var. pekinensis (Lour.) Kitam.
Brassica rapa L. var. amplexicaulis Tanaka et Ono subvar. dentata Kitam.
アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の一年草。ハクサイの系統で非結球性ないし半結球性の野菜。明治初年に中国の山東省から日本に導入されたサントウハクサイ(山東白菜)から変わったものといわれる。葉は淡緑色で、縁(へり)はぎざぎざして波打つ。繊維が少なく、煮物や漬物に適している。結球性のハクサイが今日のように普及する以前は主要な秋の漬け菜とされていたが、現在は栽培は少ない。漬物にするには、材料の目方の6%内外の食塩を用いる。生(なま)の葉では100グラム当り20ミリグラムのビタミンCを含むが、煮たり漬けたりするとほとんど失われる。愛知県産が有名であるが、東北地方の盛岡山東菜のような地方品種もある。栽培法はハクサイとほとんど同じで、8月下旬から9月下旬に種子を播(ま)く。収穫は12月が最盛期である。
[星川清親 2020年11月13日]