漬菜(読み)ツケナ

デジタル大辞泉 「漬菜」の意味・読み・例文・類語

つけ‐な【漬(け)菜】

漬物用の葉菜。また、漬物にした菜。

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精選版 日本国語大辞典 「漬菜」の意味・読み・例文・類語

つけ‐な【漬菜】

  1. 〘 名詞 〙 漬物用の菜。アブラナカブタイサイなど。また、漬物にした菜。
    1. [初出の実例]「申請漬菜銭事」(出典:正倉院文書‐天平一一年(739)一〇月・写経司解)
    2. 「漬菜(ツケナ)のおもしと、すみかき庖丁は隣へのこし」(出典滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)初)

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改訂新版 世界大百科事典 「漬菜」の意味・わかりやすい解説

漬菜 (つけな)

主として漬物に利用される葉菜類をいう。種子を利用するアブラナ(ナタネ)が中国で品種改良され,さらに日本に導入され,それらから各地方に特有な多数のアブラナ起源の葉菜類が発達した。漬菜は,それらから特徴的な群になった,カブとハクサイ類を除く一・二年生の栽培アブラナ葉菜類である。ヒマラヤや東南アジアには,葉を野菜に,種子を油料にするアキザキナタネBrassica campestris var.dichotomaが栽培されているし,中国で栽培されるウンダイアブラナB.campestris var.chinoleiferaも同様な利用がされている。そのような両用の利用から油料専用の作物としてアブラナ(ナタネ)が育成される一方,野菜専用の作物として多数のアブラナ類の品種群が東アジアで選択されてきた。それらはカブやハクサイ類,さらにはカブに近縁なハカブラ(ノザワナ),ヒノナ,スグキナ,コマツナなどと,アブラナに近縁なハタケナマナなど,あるいは独特の形態と特性をもつミズナキョウナ),タイサイ(シャクシナ)などである。

 このように漬菜の起源にはアブラナ(ナタネ)が密接な関係をもつが,アジアでその分化がみられるところから,シンスカヤE.N.Sinskaja(1928)はアジアを原産地域としている。しかし漬菜類の基本になったアブラナはN.I.バビロフ(1935)のいうように地中海地方が原産地で,近東と中央アジアが二次的な分化の中心となり,それが東アジアに導入されて,葉菜類として大発展をしたものである。中国では古くよりアブラナ(ナタネ)類の栽培が盛んで,葉や花蕾(からい)が野菜として,また種子が油料として利用されてきた。日本での漬菜の発達は,カブに近い〈あおな〉,アブラナに近いクキタチナやハタケナにあたる〈うんだい〉,キョウナやミブナにあたる〈みずな〉が古い記録に現れ(《和名抄》),江戸時代にはナガサキハクサイの原種である〈唐菜〉(《長崎見聞録》)や非結球ハクサイに属する〈白茎菜〉(《成形図説》)が見られ,明治初年にはタイサイやサントウサイが導入された。また古くから中国などより渡来,導入されたアブラナ類やカブなどが複雑に交雑を重ね,各地方の風土に合った漬菜類が分化し,土着して日本独自の多くの品種ができ上がった。

 漬菜類は一般に栽培は容易であるが輸送性に乏しいため,自給用あるいは都市近郊での栽培が主体となり,それが多様な地方品種成立の因ともなっている。系統的にいろいろなものがあるため形状は多様で,葉形は倒卵形,楕円形,さじ形や細長いものなど種々な形があり,葉縁も欠刻の有るものや無いものがあり一様ではない。また葉面には毛の有るものも無いものもある。葉柄も幅の広いものや狭いもの,色も白色のものや濃緑のものがあり,草丈は20~30cm程度のものから1m以上になるものまである。根の肥大は一般に顕著ではないが,ややまるくまたは長く肥大するものがある。地方的な品種で代表的なものに,関東地方で多いコマツナ,サントウサイ,関西地方のミズナ類,タイサイ,広島付近のヒロシマナ(非結球ハクサイ類),長崎地方のナガサキハクサイ,長野県のノザワナ,東北,北海道地方のクキタチナなどのほか,各地に在来ナタネ系の漬菜がある。栽培は結球ハクサイなどに比べ一般に容易で,耐寒性も強いものがある。漬物のほか煮物,いため物にも使われ,また菜の花漬に代表されるようにとうを利用するもの(ハタケナ)もある。
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動植物名よみかた辞典 普及版 「漬菜」の解説

漬菜 (ツケナ)

学名:Brassica campestris
植物。アブラナ科の園芸植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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