単色光に対して共軸光学系において生ずる五つの収差のこと。ドイツの天文学者・数学者、ザイデルPhilipp Ludwig von Seidel(1821―1896)が研究した。収差を光学系の瞳(ひとみ)座標と物体座標で展開すると、三次の項は五つ存在する。これら五つの項はそれぞれ、球面収差、コマ収差、非点収差、像面の曲がり、像のゆがみに対応する。光学系は、光軸の近くに存在する近軸光線によって理想的な結像をする。光線が瞳と交わる点の座標(瞳座標)および物点の光軸からの距離(物体座標)について一次の微小量まで考慮する範囲を結像のガウス領域といい、収差は現れない。これらの量の三次の微小量まで考慮しなければならない範囲をザイデル領域といい、前述のザイデルの五収差が発生する。さらに高次の微小量まで考えると、もっと高次の収差が発生する。普通、収差の理論的検討がなされるのは、ザイデルの五収差までである。
[三宅和夫]
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