改訂新版 世界大百科事典 「ザクム油田」の意味・わかりやすい解説
ザクム油田 (ザクムゆでん)
Zakum
1963年にアラブ首長国連邦アブ・ダビー北西約80kmの沖合で発見された油田。67年より生産を開始した。東西40km,南北25kmの典型的なドーム構造で,産油層は下部白亜系に属するザクム上部層と同下部層より成る。究極可採埋蔵量は約212億バレルと推定され,世界第7位の油田である。ザクム下部層は孔隙率,浸透率はほぼ良好であるが,自噴エネルギーとしては溶解ガス押し機構が主体であるために,あまり高い回収率は期待できないことが判明し,大規模な水攻法が実施されている。一方,ザクム上部層は自噴能力が著しく不良であるため,初期より水攻法を実施することとなり,83年8月より生産を開始した。油質は比重37°API,硫黄分1.7%である。本油田はウンム・シャイフ油田等とともに,海外石油開発(株)がアブ・ダビー・マリン・エリアズ社(ADMA)の鉱区へ参加することによって取得したもので,この権利はジャパン石油開発(株)(JODCO)へ受け継がれている。
執筆者:加藤 正和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報