ざり(読み)ザリ

デジタル大辞泉の解説

ざり[助動]

[助動][ざら|ざり|ざり|ざる|ざれ|ざれ]《助動詞「ず」に動詞「あり」の付いた「ずあり」の音変化》活用語の未然形に付く。…ない。…ないでいる。
「思ひつつぬればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを」〈古今・恋二〉
[補説]ふつう、「ず」の補助活用として扱う。終止形はきわめて少なく、已然形命令形は漢文訓読文体に多く用いられる。

ざ◦り[連語]

[連語]《係助詞「ぞ」に動詞「あり」が付いた「ぞあり」の音変化》(多くは「にざりける」の形で)指定・存在の意を強める意を表す。中古、和歌などに用いられた。
「照る月の流るる見れば天の川出づるみなとは海に―◦りける」〈土佐

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

ざり

( 助動 ) ( ざら ・ざり ・ (ざり) ・ざる ・ざれ ・ざれ )
〔打ち消しの助動詞「ず」の連用形に動詞「あり」が付いた「ずあり」の転〕
用言および助動詞の未然形に付く。打ち消しの助動詞「ず」の補助活用とされる。 「荒津の海潮干潮満ち時はあれどいづれの時か我が恋ひざらむ/万葉集 3891」 「むば玉の闇の現は定かなる夢にいくらもまさらざりけり/古今 恋三」 「人皆生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり/徒然 93」 「貧しくして分を知らざれば盗み、力衰へて分を知らざれば病を受く/徒然 131」 「心の師とは成るとも心を師とせざれ/十訓 2」 〔未然・連用の両形は他の助動詞へ連接する場合に用いられ、命令形「ざれ」とともに、「ず」の用法の補いとなる。連体形「ざる」と已然形「ざれ」は漢文訓読文に多く用いられ、和文系統に用いられる「ず」の連体形「ぬ」、已然形「ね」と対応する。終止形「ざり」はまれにしか用いられない〕 → ず(助動)

ざり

( 連語 )
〔係助詞「ぞ」に動詞「あり」の付いた「ぞあり」の転〕
…がある。…である。 「てる月の流るる見れば天の川いづるみなとは海に-ける/土左」 〔中古の和歌などで多く「にざりける」の形で用いられる〕

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

ざり

〘助動〙 (活用は、「ざら・ざり・(ざり)・ざる・ざれ・ざれ」) 打消の助動詞「ず」の連用形動詞「あり」が融合したもの。「ず」の補助活用とされる。動詞、助動詞の未然形に付く。
※万葉(8C後)一五・三七七五「あらたまの年の緒長く逢は射礼(ザレ)ど異しき心を吾が思(も)はなくに」
※今昔(1120頃か)三「然れば汝等強(あながち)に焼き奉らむ事不思ざれ」
※徒然草(1331頃)一三七「都の中に多き人、死なざる日はあるべからず」
一握の砂(1910)〈石川啄木〉「はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」
[語誌]未然形、連用形は他の助動詞への連接の場合に用いられ、命令形の命令法とともに、「ず」の用法を補っている。終止形「ざり」は普通用いられない(挙例の啄木の歌は例外的)。連体形「ざる」と已然形「ざれ」とは、普通漢文訓読系統のものに用いられ、和文系統の連体形「ぬ」、命令形「ね」に対応している。連用形「ざり」は、「き」「けり」につづくほか、中世には「て」「た」にも連なるようになり、「り」が促音化した「ざっし」「ざった」なども生じた。

ざ・り

連語〙 (係助詞「ぞ」に動詞「あり」の付いた「ぞあり」の変化したもの) …がある。…である。
土左(935頃)承平五年一月八日「照る月の流るる見れば天の川いづるみなとは海にざりける」
[補注]平安時代和歌などに、多く「にざりける」の形で用いられる。

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