シアノヒドリン(読み)しあのひどりん(その他表記)cyanohydrin

デジタル大辞泉 「シアノヒドリン」の意味・読み・例文・類語

シアノヒドリン(cyanohydrin)

《「シアンヒドリン」とも》分子構造中の同一炭素原子上に水酸基(-OH)とシアノ基(-CN)の両方をもつ化学種総称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアノヒドリン」の意味・わかりやすい解説

シアノヒドリン
しあのひどりん
cyanohydrin

オキシ酸ヒドロキシカルボン酸)のニトリルに相当する化合物。シアンヒドリンともいう。分子内にヒドロキシ基-OHとシアノ基-CNを同時にもつ化合物をいうが、多くの場合、同一炭素原子上に二つの基をもつα(アルファ)-シアノヒドリンRR'C(OH)CNをさす。アルデヒドケトン亜硫酸水素ナトリウムとの付加物にシアン化アルカリを反応させてα-シアノヒドリンを合成する。β(ベータ)-シアノヒドリンはエポキシドシアン化水素を作用させると得られる。α-シアノヒドリンをアルカリと反応させるとアルデヒド、ケトンとなり、酸で加水分解するとα-ヒドロキシ酸RR'C(OH)CO2Hとなる。これはシアノヒドリン合成とよばれ、炭素原子を一つ増やすのに用いられる。

[谷利陸平]

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化学辞典 第2版 「シアノヒドリン」の解説

シアノヒドリン
シアノヒドリン
cyanohydrin

ヒドロキシニトリルともいう.分子内にヒドロキシ基とシアノ基とを含む化合物.同一炭素原子にヒドロキシ基とシアノ基とがついているα-シアノヒドリンは,カルボニル化合物またはその亜硫酸水素ナトリウム付加物にシアン化アルカリを作用させると得られる.そのほかエポキシドにシアン化水素を作用させるか,クロロまたはブロモアルコールにシアン化カリウムを作用させて合成される.α-シアノヒドリンはアルカリの作用でもとのカルボニル化合物に戻り,無機酸の作用でα-ヒドロキシカルボン酸になる.また,アンモニアと反応すると,α-アミノニトリルになり,脱水すれば不飽和ニトリルになる.還元糖増炭あるいは減炭反応の中間体として利用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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