シャウビューネ(読み)しゃうびゅーね(英語表記)Schaubühne

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャウビューネ」の意味・わかりやすい解説

シャウビューネ
しゃうびゅーね
Schaubühne

広義にはドイツ語で「舞台」を意味するが、狭義にはSchaubühne am Halleschen Uferの略で、1962年に当時の西ベルリンに創設された劇団とその劇場をいう。進歩的な演劇を目ざし、初期にはブレヒトハックスオケーシーなどの社会主義的な劇作家ホルバートワイスなど進歩的ブルジョア作家の作品を好んで手がけた。70年以後は演出家(シュタイン、パイマンなど)と俳優(クレーファー、ガンツ、ギーゼなど)との民主的な協調による集団指導性を効果的に生かして名を高めた。81年には新しい劇場を得て発展著しく、ギリシア悲劇の現代化などにも精力的に取り組んできた。シュタインに続いて創立メンバーの大半が去った後は、公費補助を受ける劇場となって前衛性に乏しくなった反面、グローバルな視野で国際的な演劇交流の場としての名声を得るに至った。身体の可能性を追求するパフォーミング・アーツ活路を見出そうとするなどして新生の道を模索しつつ21世紀を迎えた。

[宮下啓三]

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改訂新版 世界大百科事典 「シャウビューネ」の意味・わかりやすい解説

シャウビューネ
Schaubühne

現代ドイツの代表的劇団。この名の劇団は以前にもあったが,現在のものは1960年代に西ベルリンのハレ波止場の保険会社のホールを本拠として設立された。70年に演出家ペーター・シュタインを中心とした意識の高い若い演劇人が結集し,集団制作によってすばらしい成果をあげるようになってから,にわかに注目された。81年秋からは,クーアフュルステンダム通りの新機構を備えた新しい劇場に移っている。俳優,演出家,装置家など役割の固定化してしまった従来の芝居づくりの形態を否定し,集団制作の方法によって演劇創造を行い,また現代社会における自己検証を行いつつ,社会への批判的姿勢のあり方を追究してゆくという方針で,多面的なプログラムをもって活動を行っている。演出家としてはシュテッケル,グリューバー,文芸部に劇作家のB.シュトラウス,美術にK.ヘルマンなどがいる。演目は多彩で,ギリシア劇,シェークスピア劇,ドイツ古典劇,ブールバール劇,革命演劇などを,精密な考証と問題意識を踏まえて批判的に上演し,また,現代劇も数多く上演している。児童劇勤労者の演劇にも手を広げ,スタジアムや映画スタジオ,廃屋など,新しい舞台空間による試みにも意欲的である。
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