シャープビル事件(読み)シャープビルじけん

改訂新版 世界大百科事典 「シャープビル事件」の意味・わかりやすい解説

シャープビル事件 (シャープビルじけん)

1960年3月南アフリカ連邦の人種差別政策に抗議したアフリカ人の蜂起とそれに対する大虐殺をさす。1959年3月非暴力抵抗を主とするアフリカ人民族会議(ANC)から分裂した過激派のパン・アフリカ人会議(PAC)は,60年3月21日パス法(アフリカ人が白人地域に入るためには身分証明書の携行を強制した法律)に反対して集会を呼びかけ,数千人のアフリカ人がヨハネスバーグ郊外のシャープビルSharpeville警察署前に集合した。その集会に向け白人警官が一斉発砲し,69名が死亡,186名が負傷した。事件直後ANCのルツーリ議長も公然とパスを焼き捨て,多くのアフリカ人がこれに同調,南ア全土に騒擾(そうじよう)が起こり,政府戒厳令を発布した。この騒擾でANCとPACの指導者2000名が拘留され,続く半年間に2万名以上が逮捕された。4月に政府は両組織を非合法化し,ルツーリを自宅拘禁,PACのソブクウェ議長を3年間の禁固刑とした。この事件によって全世界の耳目南アフリカに集まり,人種差別政策への非難の声が高まった。
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百科事典マイペディア 「シャープビル事件」の意味・わかりやすい解説

シャープビル事件【シャープビルじけん】

南アフリカ連邦のヨハネスバーグ郊外にある黒人居住区シャープビルSharpevilleでの,パス法に抗議するアフリカ人デモに対する白人警官の無差別発砲事件。1960年3月21日のこの事件は死者9名,負傷者186名を出し,全国的な騒擾へ発展。政府は非常事態宣言を発動して事態を鎮静化し,反アパルトヘイト運動の中心的組織であるアフリカ人民族会議などを非合法化した。このため反アパルトヘイト運動の活力は大きく低下することになった。→アパルトヘイト

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