日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュテール」の意味・わかりやすい解説
シュテール
しゅてーる
Hermann Stehr
(1864―1940)
ドイツの小説家。シュレージエン出身。山村の小学校教員として教会の教育管理に抵抗し、農民、職人、女性、子供ら、抑圧された人間の魂の自由を強調する自然主義的小説を書いた。短編集『生死を賭(か)けて』(1899)、長編『レオノーレ・グリーベル』(1900)がこの時期の代表作。のち、しだいに神秘主義的、反近代主義的な色彩を強め、『三夜』(1909)、『聖者屋敷』(1917)、『ペーター・ブリントアイゼナー』(1924)などの長編小説で、現実の醜さや貧しさに内面生活の豊かさを対置する独特の神秘主義的、現実批判的な世界を描いた。
[池田浩士]