シュワーベンシュピーゲル(読み)しゅわーべんしゅぴーげる(英語表記)Schwabenspiegel ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シュワーベンシュピーゲル
しゅわーべんしゅぴーげる
Schwabenspiegel ドイツ語

中世ドイツの法書。13世紀後半、おそらくアウクスブルクで『ドイッチェンシュピーゲル』とよばれる法書が編纂(へんさん)された。これは、『ザクセンシュピーゲル』の高地ドイツ語訳を核に、南ドイツの法慣行にあわせて修正したものである。この法書は、その後も増訂が続けられ、初めは『ラント法ならびにレーン法の法書』とも『皇帝の法』ともよばれたが、17世紀以降『シュワーベンシュピーゲル』の呼称が一般化した。種々の法源や法体系の寄せ集めで一貫した体系性を欠くが、西南ドイツのその後の法書(『フランケンシュピーゲル』ほか)の基礎となり、17、18世紀の大法典編纂期に至るまで通用した。

[平城照介]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

シュワーベン・シュピーゲル
Schwabenspiegel

ドイツの法書の一つ。正しくは『皇帝ラント法およびレーン法書』 Kaiserliches Land und Lehnrechtsbuchといい,1275年頃アウクスブルクの一フランチェスコ会士によって編纂されたと考えられているが名前は不詳。『ザクセン・シュピーゲル』の影響もとにつくられたこの法書は,前者と比較すると,皇帝法を多く顧慮し,南ドイツ法のほかに『ザクセン・シュピーゲル』後に出現した法制 (たとえば流血裁判権など) をも記述しているなど,いくつかの長所を有する。『ザクセン・シュピーゲル』の諸改作のうちでも最も充実したもので,ドイツ帝国内の非ドイツ系民族にも普及した。

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