ザクセンシュピーゲル(読み)ざくせんしゅぴーげる(英語表記)Sachsenspiegel ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ザクセンシュピーゲル」の意味・わかりやすい解説

ザクセンシュピーゲル
ざくせんしゅぴーげる
Sachsenspiegel ドイツ語

ドイツ最古の法書で、ザクセン生まれの騎士アイケ・フォン・レプゴーEike von Repgow(1180ころ―1233以後)が各地の裁判所参審員として活動した経験を基にザクセン地方の慣習法を成文化したもの。最初ラテン語で書かれたが、のち中世ドイツ語に書き改められ、後者が現存している。1215年から35年までの間に成立したと推定される。普通法(ラント法)と封建法(レーン法)の2部からなり、『ドイッチェンシュピーゲル』『シュワーベンシュピーゲル』など南ドイツの法書も本法書に倣って編纂(へんさん)された。法書とは私人の編纂になるものであるが、法典と同様に取り扱われた。『ザクセンシュピーゲル』も、翻訳本や絵解き本などとして普及し、ドイツのみでなく、ロシアやポーランドハンガリーなどにも影響を与え、封建制度研究の重要な史料である。

[平城照介]

『久保正幡・石川武・直居淳訳『ザクセンシュピーゲル・ラント法』(1977・弘文堂)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザクセンシュピーゲル」の意味・わかりやすい解説

ザクセン・シュピーゲル
Sachsenspiegel

13世紀ドイツの騎士,アイケ・フォン・レプゴーによってドイツ語で書かれた最初の法書。 1215~35年頃成立。ドイツ各地に広く流布し,その影響のもとに『ドイッチェン・シュピーゲル』 (1265頃) ,『シュワーベン・シュピーゲル』 (75頃) などが書かれた。これは,ザクセン地方の慣習法についての私撰書であったが,ザクセン地方のみならず,広くドイツ諸地方に普及し,14世紀には法典として裁判所において適用された。事実チューリンゲンでは 1900年まで効力を有し,さらにまた,帝国裁判所が 33年にいたっても,なおこれを引用するほど,権威の高いものであった。

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