シリア語(読み)シリアご(その他表記)Syriac

翻訳|Syriac

精選版 日本国語大辞典 「シリア語」の意味・読み・例文・類語

シリア‐ご【シリア語】

  1. 〘 名詞 〙 セム語族に属しアラム語と総称される諸言語の一つ。正確には後期東アラム諸語の一つである古典シリア語をさす。北部メソポタミアで話されたが、七世紀以後のアラビア語浸透、一三世紀のモンゴル来襲などにより衰えた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シリア語」の意味・わかりやすい解説

シリア語 (シリアご)
Syriac

本来は,初期東方キリスト教の中心地エデッサ(現,トルコ領ウルファ)とその周辺で話されていたアラム語方言。5世紀末シリア教会分裂の結果,二つの方言に分かれた。古い碑文は1世紀以後のものがあるが,重要なのは3世紀以後の,聖書翻訳,キリスト教文書,ギリシア哲学の翻訳,医学などの諸学文献などで,その量はアラム語中随一。ギリシア語からの借用が多く,10世紀ころまでアラビア語と共存していて,アラビア語に大きな影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「シリア語」の意味・わかりやすい解説

シリア語【シリアご】

東方アラム語(アラム語)に属する言語。全アラム語中最も重要な文化語。元来は初期東方キリスト教の中心地エデッサを中心とするものだが,後にはシリア,北メソポタミアに文学語・学問語として広まった。5世紀シリア教会(東方正教会)分裂とともに西方ヤコブ派(エデッサ中心)と東方のネストリウス派(ニシビス中心)の2方言に分かれた。口語としては8世紀ころアラビア語にとって代わられ,ほとんど死滅したが,文学・宗教語としては14世紀ころまで用いられた。カフカスアッシリア語はわずかに残ったシリア語現代口語である。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリア語」の意味・わかりやすい解説

シリア語
シリアご
Syriac language

北部メソポタミアに話された東アラム語。セム語族に属する。エデッサ (現ウルファ) を中心に栄えたキリスト教文化のにない手の役割を果した。5世紀,教会がネストリウス派とヤコブ派に分裂するとともに,シリア語にも東西の方言差が若干生じた。7世紀以後はアラビア人の侵略を受け,8世紀には話し言葉としての生命をすでに終えてしまったが,聖書の翻訳,注解,その他の多くの文献を残した。アラム文字に基づくシリア文字を使用。これには8世紀以降母音符号が導入された。 (→アラム語 , セム文字 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android