シリコン酸化膜(読み)シリコンさんかまく(その他表記)silicon dioxide thin film

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリコン酸化膜」の意味・わかりやすい解説

シリコン酸化膜
シリコンさんかまく
silicon dioxide thin film

二酸化シリコン SiO2薄膜で,シリコン (ケイ素) 上には通常酸素雰囲気中での熱酸化法,化学輸送法によって,他の半導体などの上にはスパッタリング,化学輸送法,プラズマ堆積法などの方法で形成される。通常非晶質で,その組成は完全な SiO2 からわずかにずれていることがあるといわれている。緻密で化学的に非常に安定であり,良好な電気絶縁物でもある。シリコン半導体のプレーナ技術では,不純物拡散の際,シリコン酸化膜をマスク (拡散を必要としない部分をおおうもの) に利用する。また最終工程終了時には素子表面をシリコン酸化膜でおおっておく。これは半導体素子接合が表面に露出していると,特にその部分から特性劣化を生じやすいので,酸化膜を用いて素子内部を外気から遮断し,素子特性を長期間にわたって安定化させるためである。シリコンとシリコン酸化膜の界面の電子捕獲中心 (トラップ) 密度はシリコンの自由表面よりもはるかに小さく,このことが MOS型電界効果トランジスタが実現された一因となっている。シリコン酸化膜ではナトリウム Naなどのアルカリ金属イオンの移動速度が大きいので,製作工程上 Naイオンの除去に留意することが必要である。 Naイオンが残ると,残留した素子により特性の劣化を招くことがある。現在のシリコン半導体素子と集積回路はすべてシリコン酸化膜技術によって支えられているといってよいほどである。

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