フランス映画。1911年作品。日刊紙『ル・マタン』連載のレオン・サジーLéon Sazie(1862―1939)の探偵小説をビクトラン・ジャッセVictorin-Hippolyte Jasset(1862―1913)監督が映画化。覆面の怪盗ジゴマが神出鬼没、変幻自在にパリ市中を荒らしまくるアクション映画。危機一髪のスリルを強調し、サイレント時代に映画ファンを熱狂させる「連続映画」の先駆けとなった作品。日本では同年(明治44)11月11日に第1編が、翌年5月1日に第2編が封切られ、大ヒットしてジゴマ・ブームを巻き起こした。斬新な映画演出で悪の魅力をみせたこの作品が明治末期の閉塞(へいそく)的な世相に呼応したためと思われる。その後、『日本ジゴマ』(1912)など模倣作が続出、子供の間にジゴマごっこが流行したため、少年の犯罪を誘発するとして1912年(大正1)10月20日上映禁止にされた。
[千葉伸夫]
『「反ジゴマキャンペーン」(1912.10.5・朝日新聞)』
…97年ころの4世池田都楽(江戸時代の〈写絵〉の考案者,池田都楽の4代目)の幻灯器械映画製造舗の通信販売広告には幻灯器械,すなわちプロジェクターと幻灯映画,すなわちスライドの目録が載っており,例えば〈仏教映画之部〉として《日蓮上人御一代記》とか,〈教育幻灯映画〉として《修身家庭教育》や《人身生理解剖之図》や《姙娠解剖之図》といった〈映画〉の題名が並んでいる。1912年10月,フランスの連続活劇《ジゴマ》の公開反対キャンペーンを載せた《東京朝日新聞》の記事の見出しには,〈活動写真の映画(フィルム)に現れた犯罪鼓吹熱〉という表現が使われ,映画作品を指すことばに移りつつあることがわかる。 〈活動写真〉ということばはエジソンのキネトスコープの訳語で,1896年1月31日付の《時事新報》の記事の見出しに使われたのが最初だという。…
…こうした活劇の素地に,さらに外国映画の影響があった。11年,フランスの探偵活劇《ジゴマ》が大ヒットして,《日本ジゴマ》《ジゴマ大探偵》などの〈和製ジゴマ〉が量産され,翌年には青少年への悪影響を理由にいっさいの〈ジゴマ〉映画が上映禁止になるほどであった。このような状況のもとで,12年,本格的活劇の第1号といわれる《火の玉小僧》がつくられたのである。…
…
[連続活劇の誕生と隆盛]
アメリカでは20世紀初めの数年間,〈ニッケルオデオン〉と呼ばれた低料金の大衆的な映画館と一流映画館が共存し,大衆的な映画館では1本の大作映画を週ごとに分割して上映する習慣のあったことが,〈連続映画〉の誕生に一つの役割を果たしたともいわれている。登場人物は共通しているが,物語はかならずしも連続していないこのシリーズものは,1908年ころからアメリカのエッサネー社の《ブロンコ・ビリー》シリーズをはじめフランスやドイツでもつくられていたが,いわゆる連続映画あるいは連続活劇として人気をよんだ作品は,フランスで流行した大衆的な探偵小説シリーズによったビクトラン・ジャッセVictorin Jasset(1862‐1913)監督の《ニック・カーター》(1908),《ジゴマ》(1911)やルイ・フイヤード監督の《ファントマ》(1913)などで,なかでも〈小市民的ロマン主義〉を反映しているといわれた《ファントマ》の成功は,ヨーロッパの各国をはじめとくにアメリカに決定的な影響をあたえた。 1913年以後,連続活劇はアメリカで急速に発達する。…
※「ジゴマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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