ジスルフィド結合(読み)じするふぃどけつごう(その他表記)disulfide bond

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジスルフィド結合」の意味・わかりやすい解説

ジスルフィド結合
じするふぃどけつごう
disulfide bond

2個のメルカプトSH)基間で酸化的に形成される硫黄(いおう)原子間の結合(-CH2-S-S-CH2-)で、S‐S結合ともいう。生化学領域では、一般にペプチドタンパク質分子中のシスチン残基にみられるものをさす。シスチンによって1本のペプチド鎖の2か所、または2本のペプチド鎖が橋渡しされて結び付くのは、この結合による。S‐S結合はγ(ガンマ)-グロブリンでは25個、血清アルブミンには17個あるが、ヘモグロビンミオグロビンにはない。種々の還元剤または過ギ酸や酸化剤によってS‐S結合は切断され、1個のシスチンは2個のシステインまたはシステイン酸になる。

景山 眞・入江伸吉]

『日本生化学会編『新・生化学実験講座 タンパク質2 一次構造』(1990・東京化学同人)』『R・H・ペイン編、崎山文夫監訳、河田康志ほか訳『タンパク質のホールディング』(2002・シュプリンガー・フェアラーク東京)』


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化学辞典 第2版 「ジスルフィド結合」の解説

ジスルフィド結合
ジスルフィドケツゴウ
disulfide bond

S-S結合.SH基を有するアミノ酸であるシステインどうしの結合で,ペプチドやタンパク質の立体構造の安定化に寄与する.自然酸化でもS-S結合はできるが,スピードが遅いので,生体ではタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(protein disulfide isomerase)が手助けをしている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ジスルフィド結合」の解説

ジスルフィド結合

 S-S結合ともいう.硫黄が-S-S-のように結合した構造をもつ化合物.シスチンや酸化型のグルタチオンはその例で,タンパク質もシスチンのこの結合で特有の立体構造を作る.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のジスルフィド結合の言及

【タンパク質(蛋白質)】より

…タンパク質は,生物体を構成するもっとも基本的な物質であり,さまざまな重要な働きをしている。細胞内外に見られる種々の構造は,主としてタンパク質により形成されるし,生物に必須の化学反応を触媒する酵素は,タンパク質でできている。そして,生体運動,神経系の活動,物質の輸送,免疫反応などもタンパク質が行っている。すなわち,タンパク質の第1の特徴として,その機能性をあげることができる。 また,タンパク質はおのおのの生物種に固有のものであり,生物種の特徴はタンパク質により決まっている。…

※「ジスルフィド結合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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