ジャスミン油(読み)じゃすみんゆ(英語表記)jasmine oil

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャスミン油」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン油
じゃすみんゆ
jasmine oil

モクセイ科ソケイ属の白い花から得られる精油素馨(そけい)油ともいう。ソケイはインド、ヒマラヤが原産地であるが、今日では南仏グラス地方、イタリアエジプトモロッコおよび中国などで広く栽培されている。花には優れた芳香成分があり、摘み取り直後の花を石油エーテルで抽出し0.28~0.33%のコンクリートとし、これを高純度アルコールで処理して50~54%のアブソリュート(絶対花精油)を得る。オレンジフラワーに似た芳香があり、高級調合香料として重要である。中国ではジャスミン花を包種茶(パオチョン茶)の付香料とする。この精油の主香成分は酢酸ベンジルであり、特有成分はシスジャスモンである。この化合物は最近工業的に合成されるようになった。

[佐藤菊正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャスミン油」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン油
ジャスミンゆ
jasmine absolute

モクセイ科モクセイ属の常緑低木のスペインジャスミンの花から溶剤抽出によって得られる精油。主生産地はエジプト,モロッコ,イタリア,フランス,スペインなどの地中海沿岸国。香気成分はジャスモン,ジスモン酸メチル,酢酸ベンジル,リナロールなど。香気は甘い蜂蜜様の果実や香草の下地をつくる香花として,高価な香水用香料の配合には不可欠で,最も有効なものとされている。

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