改訂新版 世界大百科事典 「マツリカ」の意味・わかりやすい解説
マツリカ (茉莉花)
Arabian jasmine
Jasminum sambac (L.) Ait.
アラビアからインドにかけての地域原産の,モクセイ科の常緑小木。木は高さ3mほどでややつる性を帯びて半登攀(はんとうはん)性。葉は広卵形で7cm×3.5cmほど,対生または3枚が輪生する。花は枝の先にまばらに群がり,直径1.8~2.5cmの高坏(たかつき)状白色で佳香がある。熱帯では一年中開花する。午後から夕方にかけて,膨らんだつぼみを花弁を傷つけないように萼ごと摘みとり,うすく広げて乾燥する。乾燥した花を中国や台湾でウーロン茶の添香に用い,またジャスミン油が採取される。茶の添香には,茶の上に生の花を広げて覆い,9~10時間後に除去する方法も行われる。茶をたてると甘い香りがし,茉莉茶,ジャスミンティーと呼ばれる。芳香成分はジャスモンjasmone。フィリピン,インドネシアの国花。なお,ウーロン茶の添香には,マツリカのほかにキソケイの花も用いられる。
→ジャスミン
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報