翻訳|pomade
頭髪につけて光沢を出すとともに,髪を整えるための練状の香油。かつては頭髪ばかりでなく,クリームと同様に皮膚にぬる化粧品でもあった。語源についてはいろいろの説があるが,古代ギリシア・ローマでは,豚脂に熟したリンゴの果肉と香料を加えて練ったものを,頭皮や頭髪用の化粧品として使っていたが,果実や果樹をラテン語でpomumというところから名称が起こったとする説が有力である。
ポマードがヨーロッパで文献にあらわれてくるのはイギリスのエリザベス時代で,女性の髪に髪粉(かみこ)やポマードがつけられ,また染髪も行われた。おもにイタリアからの輸入品であった。さらにヨーロッパではワセリンや流動パラフィン,固型パラフィンなどの鉱物油に香料をつけた整髪料を,ポマードとかブリリアンティンbrilliantineと呼ぶようになった。
日本では1909年ころから鬢付(びんつけ)油や練香油(髪油)がポマードとして売り出されたが,大正初年には植物性ポマードがつくり出された。これはヒマシ油85~90%,木蠟10~15%に酸化防止剤,香料などを加え加熱・融解し,急冷したものである。鉱物油に比べ,粘性があっても洗髪が容易なので日本人の髪に適し,長く使われてきた。しかし65年ころから新しい整髪料が開発されたことと,ヘアスタイルの変化によって現在ではあまり使われなくなっている。
執筆者:高橋 雅夫
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…そのためドロテアはこの籠とともに絵画化される。なお,果物を指すラテン語ポムムpomumは液汁に富むもの,とくにリンゴの意で,ポマードpomadeの語源となっており,昔はリンゴの果汁で髪油を作ったことによるといわれる。【荒俣 宏】
【果実類の生産,輸出入】
[世界]
世界における果実類の総生産量は,1981年の2億8000万tから,95年の4億0300万tへ増加した(FAO統計)。…
※「ポマード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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