ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャバルティー」の意味・わかりやすい解説
ジャバルティー
al-Jabartī,`Abd al-Raḥmān ibn Ḥasan
[没]1825/1826. カイロ
エジプトの歴史家。先祖はエチオピアのジャバルトの人。7代目の祖先がその地からカイロに移り,15世紀末か 16世紀初め頃,アズハル大学内にあるジャバルトの人たちのリワーク (寄宿舎,教室などをもつ勉学設備) に入り,やがてその学頭 (シャイフ) となった。その後,子孫が学頭の地位を世襲し史家ジャバルティーにいたった。主著『伝記と史話との伝承の不思議さ』`Ajā'ib al-āthār fī al-tarājim wa'l-akhbār (4巻) は 1688~1821年のエジプトの歴史で,ナポレオンのエジプト遠征やムハンマド・アリーの支配時代の前半など,エジプト近代化の重要時期を含む。アラブ史家の伝統的な編年史形式に拠っているが,それに重要人物の伝記を豊富に入れてある。続編を書く意図があったらしいが,実行したかどうか疑問となっている。彼の史書はムハンマド・アリーの子孫から忌避されたため,全巻が印刷されたのは 79年または 80年になってからであった。彼にはこのほか,フランス軍のエジプト占領時代の歴史"Muzhir al-taqdīs bi-dhahāb dawlat al-Faransīs"など数著があったが,それらのうち『千一夜物語』の校訂本などはまだ発見されていない。
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