改訂新版 世界大百科事典 「ホルスタイン種」の意味・わかりやすい解説
ホルスタイン[種]
Holstein
(1)代表的な乳用牛の1品種。原産地はオランダの西フリースラント州からドイツのシュレースウィヒ・ホルシュタイン州にかけてのライン川の河口地帯で,この肥沃な土壌の草生の豊かな土地に,中部ヨーロッパからもたらされたバルカン半島産のウシを基礎として成立した大型の黒白斑の乳牛である。泌乳能力が高いので,全世界に広く分布し飼養されているが,アメリカ型は乳専用で,体が大きくやせ型で角張った体型をしており,一方,ヨーロッパ型のものは,産肉性も重視されているため,四肢はやや短く,体積が豊かで後軀(こうく)も充実している。体重は雄1000kgぐらい,雌600kgぐらい。泌乳能力は年4500~6000kgで,1万kg以上の記録もまれではない。乳脂肪率3.4%ぐらい。本種は性質温順で管理しやすいが,体質は強健とはいいがたく,暑さに弱い。性成熟は中熟で,30ヵ月齢ぐらいで初産するものが多い。毛色は黒白斑が普通であるが,改良の途中でショートホーン種を用いたため,赤白斑の個体も生まれることがある。これらはかつては,失格として登録から除外されていたが,現在では認められている。また,イギリスでは無角の系統も作出されて,ポールド・ブリティッシュ・フリージアンPolled British Friesianとして別個に登録されている。日本は1885年以来,アメリカ,オランダをはじめカナダ,オーストラリアなど各国から本種を輸入し,現在飼養している乳牛のほとんどすべてが本種である。
→ウシ
(2)ドイツのエルベ川の河口を原産地とする乗用馬の1品種。体高160cmぐらい。毛色は鹿毛(かげ),栗毛(くりげ),青毛(あおげ),葦毛(あしげ)とさまざまで,性質は従順である。跳躍力がすぐれている。
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報