日本大百科全書(ニッポニカ) 「すいとん」の意味・わかりやすい解説
すいとん
すいとん / 水団
小麦粉の団子を実にした汁で、澄まし汁とみそ汁がある。小麦粉に塩少々と水を加えて練り、竹箸(たけばし)で適当な大きさにちぎって熱湯でさっとゆで、澄まし汁またはみそ汁に入れると味がよい。実際には、いきなり汁の中に団子を入れてしまうことが多い。1923年(大正12)9月1日の関東大震災の2日後には露店のすいとん屋がみられた。道行く人には便利なので大繁盛し、まもなく仮小屋のすいとん屋もできた。この天災によってすいとんは著しく一般化した。第二次世界大戦後の窮乏時代には、ふたたびすいとんが主食として大きな役目を果たしている。現代人好みのすいとんは、コンソメまたはポタージュの中に浮き実として団子を加えたものである。
[多田鉄之助]