日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカシユリ」の意味・わかりやすい解説
スカシユリ
すかしゆり / 透百合
[学] Lilium maculatum Thunb.
Lilium pseudolirion Thunb.
ユリ科(APG分類:ユリ科)の球根草で、スカシユリ亜属の総称。茎は堅く、直立し、高さ15~70センチメートル。葉は披針(ひしん)形で水平につく。花は杯(さかずき)状で上向きに開き、花径は8~12センチメートル。花の付け根部分が細まり、花にすきまができるのでその名がある。花は橙(だいだい)色がおもであるが、まれに黄や橙赤(とうせき)色もあり、黒褐色の斑点(はんてん)が多く、香りはないが昆虫を引き付ける。スカシユリはその斑点により海岸生のものと山地生のものとに大別される。イワトユリは中部地方以北の太平洋側の海岸の砂地や岩場に生え、高性で、7~8月に花を開き、イワユリは矮性(わいせい)で、日本海側の岩場に生え、6月ころ花を開く。山地生のものとしてはヤマスカシユリとミヤマスカシユリがある。海岸生、山地生のもの以外に、北海道にはつぼみに毛のあるエゾスカシユリがあり、6~7月に花を開く。
[坂本忠一 2018年12月13日]