月と太陽の視黄経の差が180°となる瞬時,すなわち望のこと,またそのときの月をいう。月と太陽は地球を中にほぼ反対側にある(正反対のときは月食)。太陽は月面をまともに照射するので,粗な物質におおわれている月面はどの点も最大の明るさに達し縁も中央部も同じ輝度となる。天体としての光度はその前後の時期に比べて特別に大きく(衝効果という),平均値は-12.5等級,太陽の50万分の1である。天頂にあるときの地面の照度は0.22lx,上方21mにつるした100Wの電灯の照度と同じである。
満月の日周運動は夏冬,昼夜を逆にした太陽のそれとほぼ同じである。月はつねに日没ころに昇り,夜半に南中,日の出時に沈む。中緯度で見る満月は春・秋分ころは真東から昇り真西に沈む。夏は南東から昇って南の低空を横切り南西の地平線に落ちる。冬は北に寄り,夜半の満月は中天高く凍てつく。
なお,満月はだれの目にもそれとわかること,その月明りは人々の興奮を呼び,野外活動にも好都合であることのために,この日は特別な日として年中行事や祭りが行われた。現代でも地方には,小正月(1月),祇園祭(6月),盆(7月),十五夜(8月),七五三(11月)などが旧暦15日の行事として残っている。
執筆者:森 巧
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…新月から1週間もたつと半分だけ輝く上弦の半月になり,夕方太陽が西に沈むころに南中する。新月から14.765日たつと,月が太陽と反対側の位置にきて満月となる。月齢がほぼ15日なので,満月の夜は十五夜と呼ばれ,太陽が西に沈むころに東の空に現れる。…
※「満月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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