スキッドモア‐オーイングス‐メリル建築設計事務所(読み)すきっどもあおーいんぐすめりるけんちくせっけいじむしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スキッドモア‐オーイングス‐メリル建築設計事務所
すきっどもあおーいんぐすめりるけんちくせっけいじむしょ

アメリカでもっとも威信のある大組織型の建築設計事務所。SOM(エス・オー・エム)と略称され、技術の最先端を走る大規模な総合デザイン・サービスと効率・品質管理を標榜(ひょうぼう)し、一流の顧客からの膨大な仕事量を誇る。創立は1936年シカゴで建築家スキッドモアLouis Skidmore(1897―1962)とオーイングスNathaniel A. Owings(1903―84)がパートナーを組んだときにさかのぼる。その後エンジニアのメリルJohn O. Merrill(1896―1975)が加わって名実ともにSOMとなる。近代建築史にその名を焼き付けて多くの追従者を生んだ総ガラス張りカーテンウォールのレバー・ハウス(1952)以来、大規模オフィス設計ではつねに先頭を駆け、チェースマンハッタン(1961)、バンク・オブ・アメリカ(1969)、ジョン・ハンコック・センター(1970)、全米一の高さを誇るシアーズタワー(1974)、上海(シャンハイ)の超高層建築ジンマオタワー(1999)、ニューヨークのタイム・ワーナーセンター(2004)などの代表作がある。また、2007年(平成19)に完成した東京ミッドタウンのマスタープランも担当した。2008年現在、シカゴなど全米に5か所のほかロンドン香港(ホンコン)、上海、ブリュッセルにも事務所をもつ。あらゆる分野の建築・都市計画を手がけているが、注目されるのは、機能や構造極限までつきつめて、精緻(せいち)な技術で洗練された単純な形態をつくりだすという共通の志向性のなかにも、各事務所のデザイン的独自性がそのリーダーによって競われてきたことである。彼らが世代交替し、創立者が他界したいま、ポスト・モダニズム的な表現至上主義的作品が出るなど一部に変質の兆しもみせている。

[六鹿正治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android