スキュラ(その他表記)Skylla

デジタル大辞泉 「スキュラ」の意味・読み・例文・類語

スキュラ(Skylla)

ギリシャ神話で、メシナ海峡に住む女の怪物。頭は六つで、胴から下は蛇体。船が近づくと、船乗りを捕らえて食ったという。→カリブディス

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精選版 日本国語大辞典 「スキュラ」の意味・読み・例文・類語

スキュラ

  1. ( [ギリシア語] Skylla ) ギリシア神話に出てくる女の怪物。頭は六つで、胴から下は蛇体。メシナ海峡に住み、ここを通る船乗りを捕えて食べるので、恐れられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スキュラ」の意味・わかりやすい解説

スキュラ
Skylla

ギリシア神話の海の怪女。『オデュッセイア』では,カリュブディスとともに,オデュッセウス帰路航海を妨げた海の怪物で,足が 12本あり,3列の歯をもった6つの頭をもち,オデュッセウスのすぐれた部下を6人食った。後代の物語 (オウィディウス変形譚』) では,もと彼女はあどけない美少女で,グラウコスが彼女に恋をしたが,彼女は彼の愛を受入れなかった。ために彼はキルケに,スキュラの心が自分に向くようにしてほしいと頼んだが,グラウコスを憎からず思っていたキルケは魔法の薬汁を使って,スキュラを3つの犬の首をもつ恐ろしい姿に変えたといわれる。『オデュッセイア』では,彼女は女神クラタイイスの娘とされているが,父母については諸説があり,父はフォルバスまたは海神フォルキュス,母はヘカテ,あるいは父は怪物テュフォン,母は怪女エキドナともいわれる。のち,彼女はヘラクレスに殺されたが,父親のフォルキュスによって生返ったともいわれる。

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百科事典マイペディア 「スキュラ」の意味・わかりやすい解説

スキュラ

ギリシア伝説の海の女怪。カリュブディスと対をなす。6個の頭,12の足をもち,舟人が近づくと6人ずつひとつかみにして食うという。ホメロス《オデュッセイア》の挿話有名
→関連項目セイレン

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世界大百科事典(旧版)内のスキュラの言及

【髪】より

…旧約聖書《士師記》のサムソンは髪に怪力の秘密があることを妻デリラに打ち明け,そられて捕らえられたが髪は伸びて再び力を得,3000のペリシテ人が屋根にいる家の柱を倒してともに死んだ。メガラ王ニソスNisosは白髪の中に1本の緋(ひ)色の毛があり,これが強力な統治権を保証していたが,敵将ミノスに恋した娘スキュラSkyllaに切りとられた。釈迦の小相八十種好の一つに〈螺髪は右旋し群青色〉とあって縮毛が威厳をつくっている。…

【グラウコス】より

…オウィディウスの《転身物語》によれば,彼はもとボイオティア地方のアンテドンの漁夫であったが,たまたま口にした薬草のおかげで,上半身は人間,下半身は魚の姿をした海神となった。その後,まだ美少女だったスキュラSkyllaに求愛したものの相手にされなかったため,魔女キルケに助力を請うたところ,彼女はスキュラを海の女怪に変じてしまったという。この話はイギリスの詩人キーツの長詩《エンディミオン》の中でも,海神みずからの口から語られている。…

【タコ(蛸∥章魚)】より

…タコは近づく魚を引き寄せて捕食するので,誘惑者や裏切り者,あるいは悪魔と同一視され,devilfishの名が一般化している。西洋では古くから海の怪物の伝説が存在したが,タコも《オデュッセイア》に語られる12本足と6頭の怪物スキュラSkyllaなどと混同された。さらに19世紀初めに博物学者ドニ・モンフォールPierre Denys‐Montfortは,船を海中に引きずり込むという怪物クラーケンの正体を大ダコと断定し,〈地上で最大の凶暴な生物〉という恐しいイメージを定着させた。…

※「スキュラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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