日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクリーン印刷」の意味・わかりやすい解説
スクリーン印刷
すくりーんいんさつ
絹布を枠に張り、型紙(ステンシル)をつけて上からインキを押し付ける印刷法。絹布を使うところからシルクスクリーン印刷ともいうが、ナイロンやステンレス鋼を用いることが多いので、単にスクリーン印刷というようになった。この印刷法は、古くから染色にも用いられたが、型紙のかわりにスクリーンの網目を手作業的につぶす目つぶし法や、写真製版を利用した方法も広く利用されるようになった。写真製版の方法は、切り抜き型紙や目つぶし法ではできなかった複雑な絵や写真も印刷でき、用途も広くなった。
インキはスクリーンの上からスキージという長方形の木片やゴムで押し出すようにしてつける。紙にのったインキは、他の印刷法に比して厚い。インキのつけ方が特殊であるので印刷の速度が遅く、大量の需要には適切な印刷法ではない。
紙への印刷としてはポスター用が主で、布地、プラスチックフィルムやシート、金属箔(はく)、壁紙用の特殊紙などへの印刷に最適である。瓶のような曲面体へも簡単に印刷できるので、飲料容器のガラス瓶、プラスチック瓶、自動車の車内や家電製品のさまざまなボタンの印、その他雑貨などへの文字入れ、模様付けに利用される。プラスチックへの印刷は電気回路の製造にも用いられ、プリント配線としてエレクトロニクス工業に活用されている。
[山本隆太郎・中村 幹]