日本大百科全書(ニッポニカ) 「スターチス」の意味・わかりやすい解説
スターチス
すたーちす
statice
[学] Limonium
イソマツ科(APG分類:イソマツ科)イソマツ(リモニウム)属の総称で、耐寒性・耐乾燥性の強い一年草または多年草。スターチスは旧属名である。台湾から旧ソ連地域、ブルガリア、地中海沿岸にかけて自生し、ほとんどが海浜生で、約120種ある。茎はよく分枝し、葉は根生する。花はごく小さく、分枝のすべてに無数につく。切り花や花壇に使われる。シヌアーツムsinuatum種は秋播(ま)きの一年草として扱われ、もっとも普通に栽培される。ハナハマサジともいう。葉は長披針(ちょうひしん)形で、5~6月、紫青または桃色の花を開く。ドライフラワーによく使われる。シネンシス種は多年草で、葉は長楕円(ちょうだえん)形でつやがあり、6~7月、淡黄色の花を開く。ラティフォリウム種は多年草で、花が無数につく姿を花火に見立て、ニワハナビの名もある。葉は緑灰色、長卵形で、7~8月、藤(ふじ)色の花を開く。また、ペレズィーは四季咲き性で、ハウス栽培で周年出荷される。
耐寒性は強いが、日陰地や多湿地ではよく育たないので、日当りがよく、水はけのよい所に植える。繁殖はシヌアーツムは実生(みしょう)により、その他は株分けと実生によったが、近年は組織培養(メリクロン)による増殖苗が広く出回っている。
[鶴島久男 2021年2月17日]