温帯低気圧や移動性高気圧の活動度が強い領域のこと。ストーム経路、低気圧経路ともいう。この領域では、南北方向に温度傾度が大きいことから傾圧不安定となっており、擾乱(じょうらん)が発達し、温度傾度を解消しようとする働きから、降水量が多く、風が強い。また高低気圧擾乱の通り道となりやすい領域であり、等高度面天気図では気圧が、等圧面天気図では高度が、日によって大きく変動する(気圧や高度の標準偏差が大きい)場所である。偏西風が大きく蛇行する中緯度にみられ、夏より冬に、南半球より北半球で明瞭である。
とくに、北半球の冬には、アリューシャン低気圧、アイスランド低気圧がそれぞれ位置している地域で顕著に現れる。山岳(たとえばチベット高原やロッキー山脈)の影響で、風下側の太平洋や大西洋上に東西風の鉛直シアの強い領域が形成される。このとき温帯低気圧の活動度は東西方向に一様ではないこと、中緯度の海面水温の南北温度勾配が東西に一様ではないことから、特定の場所で傾圧度の高い領域ができる。そこで温帯低気圧は発達しやすくなり、ストームトラックが顕著になると考えられている。急激に発達する低気圧(爆弾低気圧)の発生頻度分布は、ストームトラックの分布と非常によく似ている。
[饒村 曜]
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