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移動性高気圧 いどうせいこうきあつmigratory (traveling) anticyclone

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

移動性高気圧
いどうせいこうきあつ
migratory (traveling) anticyclone

移動する高気圧低気圧と対をなす移動性高気圧と極気団の氾濫による移動性高気圧がある。日本付近にによく現れるのは前者で,後者は冬に現れる。移動性高気圧の形は地上では円または楕円に近いが,台ほど丸くはない。直径は 500~2000kmほどで,平均 1000km。気圧傾度は中心ほど弱く,風速は中心からの距離にほぼ比例して強くなる。移動性高気圧の中では風が弱く,下降気流により雲ができにくいため天気がよく,水蒸気の量が少ない。このため夜間の放射が著しく,地面付近では明け方著しく冷えるため,春には晩霜をみることがある。中心が通過するとまもなく雲が出て,天気が崩れることが多い。日本付近では偏西風に流されるため毎時 40kmくらいの速さで東に移動することが多い。移動性高気圧のあとには低気圧が続き,そのあとまた高気圧が現れる。この周期は 3~4日のことが多い。移動性高気圧の経路は日本北部を通る場合と,太平洋沿岸を通る場合が多く,緯度では 28°付近と 38°付近に極大がある。これは亜熱帯ジェット気流と帯ジェット気流の位置に対応する。

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デジタル大辞泉の解説

いどうせい‐こうきあつ〔‐カウキアツ〕【移動性高気圧】

停滞せず、移動する高気圧。等圧線は円または長円形で日本全土を覆う程度の大きさ。春秋に多く現れ好天をもたらすが、霜害の原因にもなる。

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百科事典マイペディアの解説

移動性高気圧【いどうせいこうきあつ】

停滞性高気圧の対。ふつう温帯低気圧交互に並んで中緯度帯を東進。春秋に多く現れ,中心付近では風が弱まり晴れ上がる。→高気圧

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世界大百科事典 第2版の解説

いどうせいこうきあつ【移動性高気圧 migratory anticyclone】

温帯低気圧の後面を低気圧とともに移動していく高気圧をいう。温帯低気圧は寒帯気団と熱帯気団の間に出来るもので,移動性高気圧の前半部はこの寒帯気団,つまり相対的に寒冷で乾燥した空気でつくられる。それで高気圧の形態が識別されるのは地上から高さ3kmくらいまでの間で,その上は偏西風の南北にゆれる波動状の流れに変わっている。この上空の流れも移動性高気圧の前半部のところで沈降運動をもっているので,低気圧通過後のさわやかな天気をもたらすことが多い。

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大辞林 第三版の解説

いどうせいこうきあつ【移動性高気圧】

移動していく高気圧。形はほぼ楕円形で、日本本土を覆うほどの大きさをもつものもあり、温帯低気圧と交互に日本付近を東進する。春と秋によく出現し、この圏内では好天になることが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

移動性高気圧
いどうせいこうきあつ

移動する高気圧のこと。シベリア高気圧、オホーツク海高気圧、小笠原高気圧のような停滞性の高気圧とは対照的な高気圧である。もっとも停滞性高気圧も、その中心は動いているが、ほぼ同じ地域内を不規則に動いたり、また一定方向に動く場合でも、きわめて低速(時速10キロメートル以下ぐらい)である。これに対し移動性高気圧は、ほぼ一定の、通常、西から東の方向に時速40~50キロメートル程度で比較的規則正しく動くのが特徴的である。長円形をしており、長軸の長さ(東西幅)は1000~3000キロメートル程度。春秋に温帯を東進することが多く、先行と後続の高気圧の間に低気圧(気圧の谷)があって、ともに上空の偏西風波動の東進に対応して動くので、これらが通ると、天気に3~4日の周期変化が現れる。[倉嶋 厚]

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世界大百科事典内の移動性高気圧の言及

【寒冷高気圧】より

…この種のものは寿命が短くて,移動もごく小範囲に限られる。(2)温帯低気圧の後面に現れる移動性高気圧。これは相対的に寒冷な気塊からなり,寒冷高気圧に属するが,同時に上層の波動状の気流と組織化されていて,上層で集積,下層で発散する循環を維持する力学的構造も備えている。…

【高気圧】より

…このようなある大きさの組織的な構造が2日から10日以上持続するものが高気圧である。高気圧は,(1)停滞性のもの,(2)移動性のもの(移動性高気圧),(3)局所的なもの,の3種に分けられる。高気圧の名のごとく気圧の高い状態を維持する機構は二つある。…

※「移動性高気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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