日本大百科全書(ニッポニカ) 「スピッツ」の意味・わかりやすい解説
スピッツ
すぴっつ
spitz
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科の動物。家畜イヌの1品種で、正式名称は日本スピッツという。本犬種は、サモエドやフィニッシュスピッツなどを含む北方犬族に属するが、そのうちのどの犬族に端を発するかは明確でない。大正の終わりごろには日本にすでに到来していたといわれるが頭数は少なく、爆発的に流行し全国に広まったのは第二次世界大戦後のことである。純白の長毛で立ち耳と巻き尾をもつスピッツは美しく、大きさも小柄で、じょうぶで扱いやすいこともあって、大人気を得た。しかし、犬種標準も整備されず、計画的な繁殖もなされなかったため、喧噪(けんそう)な性質のものも続出し、人気離れも見受けられるようになった。最近は日本産の犬種として標準も整備され、より優れた犬種の作出に根強い愛好者が取り組んでいる。現在はイギリスでもショーに出されるようになり、愛好者は世界的になりつつある。スピッツの名称は、ドイツ語で「とがったもの」を意味し、耳先や口吻(こうふん)がとがっていることに由来する。体高36~40センチメートル、体重6.3~9キログラム。
[増井光子]