時間に追われずに、余裕をもって人生を楽しもうという概念、あるいはこの概念に沿った生活様式をさす。slow lifeは和製英語。仕事に明け暮れ、車や飛行機での移動で時間を節約し、食事さえもファストフードですまそうという大量生産・大量消費社会やモータリゼーション社会への反省から生まれた考え方。環境問題と関連づけて論じられることが多く、興味をもつ人々の増加とバブル経済崩壊後の低成長時代の気運とも相まって、スローライフ概念を販売や広告戦略に取り入れる企業が相次いでいる。
ファストフード店の進出に対抗し、イタリア北部ピエモンテ州の小村ブラBraで1986年に始まった伝統食や持続的農業を守ろうという「スローフード運動」が起源とされる。単に食だけでなく、居住地(田舎への移住)、交通手段(自転車や徒歩の奨励)、教育(環境や食育の重視)、街づくり(郊外開発ではなく中心街の活性化)など生活を取り巻く環境全般を見直し、利益・効率重視から暮らしや生きがい尊重へと切り替えようという発想に基づいている。日本で始まった概念とされ、2000年代なかばに非営利活動法人スローライフ・ジャパンや日本スローライフ学会などが相次いで設立された。
[編集部]
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