改訂新版 世界大百科事典 「セイガイインコ」の意味・わかりやすい解説
セイガイインコ (青海鸚哥)
lorikeet
オウム目オウム科セイガイインコ属Trichoglossusの鳥の総称。全長19~30cmの中型のインコ。羽色は緑色,赤色,青色,紫色などよりなり,非常に鮮やかな色彩をしている。セイガイインコ類はヒインコ類の仲間で,細い舌の先端がブラシ状に分かれているのが特徴で,別名のハケシタインコはこれによる。この舌は,くちばしで花をかみつぶし,しみ出てきた花みつをなめとるのに適している。多くの種は森林の樹上に群れで生活し,食物を求めて大群で移動し,花みつ,花汁,果汁の多い柔らかな果実を主食としている。小スンダ列島およびセレベス島からオーストラリアに9種が分布し,1種がミクロネシアの特産である。
代表的なゴシキセイガイインコ(五色青海インコ)T.haematodusは全長約30cm,英名でもrainbow lorikeet(虹色のインコ)と呼ばれているように,非常にはでな色彩をしている。上面と下腹が緑色で,くちばしと胸が赤い。顔と上腹は青く,胸のわきと下尾筒(かびとう)が黄色をしている。小スンダ列島からオーストラリアおよびニューカレドニア島まで分布する。群れで花の咲いている木の樹冠部を飛び回り,あまり人を恐れない。オーストラリアのクイーンズランド州の鳥類保護区では,給餌して大群を呼び集めることに成功し,他のインコ類も混じった数百羽の群れが毎日やってきて,観光名物になっている。
飼鳥としては色が鮮やかで,またダンスやディスプレーがおもしろく,日本にも古くから輸入されたが,インコ類としてはあまりじょうぶではない。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報